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僕の愛したバイクと車たち

車に関わる想い出とフィクション

運転免許を取る

 車の免許取得は父が費用を出してくれた。兄と姉の3人兄弟なのだが、これからの時代は必ず自動車免許が必要であるとの父の持論があり、早く免許を取るようにと父に薦められていたのだ。
 二十歳を迎えすぐに免許は取得したが、実際に乗る機会は少なかった。自分の車を持つ前にバイクに興味を持ち始め、バイクを手に入れたので車を運転する機会はほとんどなかったのだ。
 それでもレンタカーを借りて走る事は何度かあった。ここはレンタカーでの思い出話や、自分の車以外の話でも書こう。

カミナリ族だった

 ふと思い出したことがある。1968年くらいだったと思うのだが、カミナリ族と呼ばれたバイク乗りを見た記憶があるのだ。神社のある公園で数人の男達がバイクに乗り遊んでいた。公園の中でバイクを走らせても平気な時代だったんだろうなぁ。

 ターンやジャンプをしばらくやったあと、彼らは神社に登る長い階段の前の移動した。小学生だった僕はそれを遠巻きに見ていたと思う。自転車に乗っていたかもしれない。

 神社の階段は歩いて登るのも大変な急で長い階段だ。おそらく20才前後の若者だったんだろうな、当時若いバイク乗りたちはカミナリ族と呼ばれ町を我がもの顔で走り回り大人達の顰蹙をかっていた存在だ。

 彼らは順番を決めると、なんと神社への階段へアタックしたのだ。150mはありそうな階段の斜面をバイクで登りきるのだ。これは驚いた。しかも次ぎはその階段を降りて来たのだ。もし転倒すれば絶対命はない。

 彼らは暴走族ではなく、カミナリ族だったんだなぁ。

家族旅行と交通事故

 私が免許を取った数年後、姉が免許を取得。それを機会に家族で千葉の成田山にドライブに行くことになった。成田山は御存知の様に安全運転祈願の神様だ。ある夏の晴れた日レンタカーを借り、父、兄、姉の4人で千葉へ向かった。なんのことはない家族でのドライブだが、とんでもない経験となってしまった。

 それは帰り道の交通量の少ない山道だった。祈願を済ませ、お守りも購入し、綺麗に舗装された2車線の道路を、美しい景色を楽しみながらのんびりと走っていた。このあたりなら、免許を取ったばかりの姉でも運転がしやすいだろうと、姉にハンドルを握らせたのだ。私が助手席に座り、兄が後ろで地図を見ながら指示をしていた。

 私はもちろん兄ですらそれほど車の運転の経験があったわけではない。無論千葉の道など知るよしもない。地図を見ることもやっと兄がなれ始めた頃だ。
 車がT字路にさしかかった。左折か直進かを選べる状態だった。そのさしかかる瞬間、兄が「そこ左に曲がれ」と指示を出した。しかし、それはあまりに直前で、急な指示だった。普通なら、「無理だよ」と直進してしまうタイミングだったのだ。

 しかし、免許を取って初めてのドライブ、姉は混乱した。そしてハンドルを左へと回したのだ。時速は40kmほど出ていたと思う。
 その瞬間タイヤが鳴き出した。車は急に左に向きを変えた。その瞬間、信号で停止していた車が目に飛び込んできた。グレーのセダンで、乗っていたのは老夫婦。私達の車はその車に向かって突っ込んで行ったのだ。

 こっちも驚いたが、向こうもかなり驚いたに違いない。私は今でもあの二人の表情を思い出すことができる。姉を見るとあまりのことにパニック状態、ハンドルから手を離していたのだ。
 このままでは激突は免れない。私は無が夢中で横からハンドルを左に回しきった。それでもまだ無理やり回そうとしていたのを覚えている。さらにサイドブレーキも思いっきり引っ張った。
車は停止していた車との衝突を免れ、左ガードレールに衝突、再びハンドルを右へと戻し、車を安定させる。「ゆっくりブレーキ踏めよ」姉に声をかける。

 全てが一瞬の出来事だった。全員が放心状態。後で姉に聞いたがほとんど覚えていないらしい。父も兄も「もうだめだ」と思ったようだ。不思議なことに誰も声を出さなかった。私のとっさの行動がなければ、明らかに正面衝突なのだが、私自身なぜあのような行動ができたのかは、今でもなぞだ。私は決して反射神経が優れた方でもなければ、運転が上手いわけでもない。
 まあ、成田神のお守りのお陰だったと思うほかはない。そのお守りは20年以上たった今も私の車のダッシュボードの中にある。そして、姉がそれ以来運転をしたという話も聞かない。

FICTION とは作り話

以下の話は FICTION すなわち作り話なのだ。決して本当にあったことではないのだ。

車の運転がしたい

 車の免許を取ってすぐの頃だった。免許はあっても車はない。乗りたければレンタカーを借りるくらいしか方法はなかった。だが、車に乗りたかった。チャンスがあれば運転したかったのだ。だからタダで車を運転できる場面に出くわせば、運転するものなのだ。バカにつける薬はない。

 ある日先輩から電話があり、話を聞いて欲しいという。夕方の約束で居酒屋で酒を飲みながら相談にのる。何のことはない、金を貸してくれということだった。飯を食ったあとは、彼の家の近くのスナックで飲んだ。おそらく3時頃まで飲んでいたと思う。

 良く行く店らしくつけがきくらしいのだが、だいぶたまっているみたいだ。「しょうがないヤツだなぁ」と思ったが口には出さなかった。いやだしたかもしれない。それでも二人でかなり楽しく歩いて彼のアパートに向かった。

 「あぁ、海行きてぇなぁ」「海、いいなぁ。でも車ないしなぁ」

 しょうもない会話をしながら歩いていたのだが、線路わきに止めてある一台の軽トラックが目に入った。僕はなぜかそのドアノブに手をかけたのだ。「カチャ」と音をたてドアがあいた。中を見るとキーがささっているではないか。
 「おーい」先を歩いていた先輩に声をかけた。「この車、鍵ついてる」

 先輩はすぐにそばにやってきた。そして「俺にまかせろ」と運転席に乗り込んだのだ。
 「キュルキュル・・・」と言う音が響き渡る。先輩はエンジンをかけようとしているのだが、なぜかかからないのだ。
 「おかしいなぁ」「先輩、免許もってるの?」「今、教習所通ってんだ」

 そんな問題か!?見つかったら窃盗だぞ。でも僕は冷静だった。「かわってよ」と嫌がる先輩を運転席から引きずりおろし、車に乗り込んだ。キーを回すとなんなくエンジンがかかった。

 「無免許だからだよ、さぁいこう」先輩は助手席に乗り、車は走り始めた。
この軽トラはコラムシフトの4速マニュアル車で、シフトレバーはハンドルの左側にくっついている。シフトはコラムからフロアに変わり始めた頃で、僕もコラムは不慣れだった。

 「この車加速悪いなぁ。まともに走らねぇ」後になって気が付くのだが、ギアを1→2→3→4とあげていくのが当然なのだが、酔っ払っていたせいもあるのだろう。2→1→4→3とシフトしていたのだ。まぁ、それでも何とか車は走るものなのだ。

 「よーし、海行くゾ」

 海へ行くと言ってもどっちが海だかよくわからないが、「まぁだいたいこっちだろ」って感じで車を走らせた。
 「なぁ運転かわれよ」先輩が運転したくてしょうがないようだ。
 「でも、無免じゃん」そんな問題ではないのだが、僕の頭もそうとうイカれている。

 「お前は免許あるんだから、好きな時に運転できるだろ。俺なんかこんなことでもなきゃ運転できないんだぞ」むちゃくちゃな理論だなぁ。でもなんか説得力あるなぁ。僕は車を道路わきに止め彼に運転をまかせた。

 カーステレオをガンガン流し、車を走らせた。「海へ行くぞぉ」僕は助手席の窓を開け体を乗り出し夜風を浴びた。開放的でスリルがあった。気がつくと、車が道の真ん中を走っているじゃないか!「先輩、車まん中走ってるよ、もっと左よって」

 「いやぁ、目悪いからさぁ、白線の目印ないと走り辛くてさ」センターラインの上を走っているのだ。僕も僕で「そうか、それじゃしょうがないなぁ」僕の脳ミソはかなりヤバイ状況だ。

 「カシャーン」と言う音がした。運転席にキラキラする破片が飛び散った。ドアミラーが割れたのだ。すれ違う車とミラーがぶつかり右側のミラーは粉々に砕け車内に飛び散った。

 「あれま」「なんだ?」二人は意外と冷静だった。あと少し右に寄っていたら大事故は間違いない。これを冷静とは言わないが、二人は何もなかったかのように車を走らせ続けたのだ。 

 海に向かって走っていたはずなのだが、いつまでたっても海には着かなかった。そりゃまぁそうだな。ほとんど車の運転経験がないアホが酔っ払って車を走らせても、目的地に着くはずはない。そうこうしている間に、夜は明け始めたのだ。だんだんとあたりが明るくなってきた。

 それに冷たい風をうけたせいもあって、酔いがさめてきた。正気に戻ってきたのだ。
 「そろそろ、やばくね?」「だなぁ」
 「ここ、どこだろ?」「えっと、だいたいわかる。そんなに遠くない、家から」

 けっこう走ったはずなのだが、先輩のアパートからそう遠くないところだった。
 「どこかに、車おいて帰ろうぜ」「それがいいな」

 先輩は道を下り左に曲がる峠道のわきで車を止めた。あたりは民家もない田舎道だ。すでに朝を向かえ明るくなっていた。

 「指紋消した方がいいな」「そだな」二人は来ていたTシャツのすそでハンドルやらシフトレバーやらを拭いた。こんなんで指紋って消えるのかなぁ。

 拭き終わると車を飛び出し、道路の左側を歩き出した。「こっちだよ」先輩は場所がわかっているらしい。きた道を戻るように歩いた。カーブを曲がったその時だ、前からパトカーが走って来た。

 パトカーは僕らの右側をゆっくりと走ってカーブを左に曲がって行く。その先の路肩には先ほどまで乗っていた盗難車が止めてある。場所的にはかなり不自然な感じだ。

 「走るなよ」パトカーを見た瞬間先輩が僕に言った。マジで冷静な判断だった。そしてパトカーがカーブを曲がり視界から消えた瞬間、「走れ!」先輩が言った。

 それから走った、走った。必死に走った。時々後ろを気にしながら、できるだけ細い道を選んで走ったのだ。30分くらいだったか、1時間くらいだったか良く覚えていない。でも走って先輩のアパートまでたどり着いたのだった。
 部屋に入ると、床に倒れこんだ。「疲れたぁ」「うん」二人で顔を見合わせ、笑った。

 その後、この先輩にあったことはない。僕のところにお巡りさんが来て、車の窃盗と飲酒運転のことを聞かれたこともない。先輩が酒を飲んでケンカをし、一晩警察に泊ったと言う風の噂を聞いたが、それ以上のことはわからない。
 そして、酒を飲んで車を盗み、走り回るのはいいことではないのだ。決してこんなことをしてはいけない。